お知らせ

「文字で語る」のコンテンツを開始してみました。
当面実験運用です。
メインのホームページに整理する前の情報をお送りします。
断片的にはなってしまいますが、お役に立てるようにがんばります。
執筆担当は荻野です。応援メッセージやクレームもどんどん待っています。(^^)

2013年7月6日土曜日

出来るだけコストを掛けずに家を建てたい。

 

某所で、

「出来るだけコストを掛けずに家を建てたい。

  

①外観は一切の無駄を省いた真四角の家。

②4LDK+納戸(8畳、6畳、4.5畳、4.5畳、3畳ぐらいでOK)

③内装も極めてシンプルに。自然素材等にはこだわらない。

④施主支給してコスト削減できるものは可能な限りしたい。

⑤延床は35~40坪ほど。

  

以上の他にもコストを安く上げる方法はありますか?

 

という質問がありました。

 

そこに、下記のように答えました。

どなたにも参考にしていただける要素が含まれていると思うので、転載します。

 

 

-----------------以下、弊社回答--------------

 

安く建てたいのか、お値うちに建てたいのかで判断が分かれるところです。


日本で家を安く建てる手法は、業者に限らず限定されます。
業者によって、そこまでやっていいかという自己規制が働くか、望んでいるならやってしまえるかという違いだけです。


そういう意味では、たとえローコストメーカーであっても、最安値にはなりません。さすがに、そこまでは出来ない、という企業ルールがあるからです。


法律違反ではないぎりぎりの低価格が望みであれば、建売の下請け業者さんなどを探して、こだわりは一つもないので、違法でない一番安い仕様で、安価にしてください。というのがいいのではないでしょうか?省エネや耐久性のことも言いません、という事であれば、かなり安価に出来そうです。

 


「安価に建てたい」というイメージを確認するために例を出しましたが、現実的にはできるかぎりコストを掛けないというのは、前述のような安価に建てたいというのとは、おそらく違うでしょう。


「できる限りコストを掛けない」というのを、無駄なコストを掛けずに、費用を出来るだけもの(ハード)に変えたい、というイメージでとらえるとすれば、出来るだけ、ソフトにお金を使わないことが肝心になります。


間取りは、すでにあるプラン集のような物から決定し、途中の打ち合せは少なく、色や材質はお任せで文句は言わない、というような覚悟が出来るなら、それは相当コストダウンにつながります。
逆に、施主支給などは、施主支給のやりとりに人的パワーが必要なので、トータルではコスト高になります。(見積状上手く調整されてしまい、見かけ上得したようには見せてくれるかもしれませんが。)

 


家の維持費等を含めた生涯の住居費を最小にしたい、という視点で考えるなら、暮らしぶり(冷暖房の使用状況や家族構成、メンテナンスや外観の気にされ具合など)や嗜好などを良くきいて、適切なプロダクトを考えてくれるところが、最もお得になると思います。
イニシャルにあと、これだけかけるのかかけないのか、という事を、適切に判断するのは、それなりに経験のいることですので、少し年齢のいった経験年数の長い担当者の方が良いでしょう。


実は、間取りにも口は出しそうだし、仕上げも、何でもいいといいながら何でも良くはないな。など、それなりの打ち合せを想定しているかもしれませんね。
まずは、自分自身が考える(そして納得できる)ローコストのあり方を考えてみるといいと思います。平行して住宅雑誌でも眺めていれば、答えは見つかるのではないでしょうか?

 


いずれにしても、頃合いをわきまえることの出来る工務店が適しているとは思います。
「質問主さんが価値を感じない部分は省け、価値を感じる要素だけで上手く創ってくれる工務店。」を見つけてください。
それが、一番ローコストの近道です。
「トイレが一つ3000円安く手に入る。」なんていう類いのことには、あまり拘らない方がいいと思います。


ちなみに、手続きで、リスクが少なくコスト削減効果が高いおすすめは、意外に登記関係です。
特に、表題登記に関しては、少し手間はかかりますが、10万円程度の手数料を浮かせることが出来ます。住宅ローンを利用する場合でも可能です。

2013年5月30日木曜日

外壁の塗り替え…とか

例えば、外壁の塗り替え

せっかく足場をかけるのだから、少しでも長持ちする塗料をおすすめします。
しかし、コーキングと塗装が切っても切り離せない関系の建物だった場合は、塗料だけ長持ちしてもコーキングの寿命が来たら塗り替えないといけないので、高い塗料を使うだけもったいない。という事が起こりえます。
またしかし、コーキングの劣化がそれ程までは建物に悪影響を与えないという構造もあり、何度もやりたくない建築主さんの場合は、単純に塗面が長持ちする方が良い事もあります。
こんな風に、外壁の塗り替えひとつをとっても正解はいくつもあります。
しかし、その建築主のその物件に対する正解は通常1つしかありません。
いくつもの選択技からそれぞれに合った正解を見つけ提案する事は、我々の仕事のひとつです。

なかには、その正解をご自分で見つけたい方もいらっしゃるので、そういう場合は、適切な情報提供が仕事になる事もあります。

また、上記の塗装の例で言えば、しっかりと規定の厚みで塗られる事を確保する事も、我々の大切な仕事のひとつになります。
塗装は、塗料を減らして薄く塗る事など容易で、仕上ってしまえば見わけはつきませんし、影響が出るのは数年後です。いいかげんにも出来てしまう工事に「信頼」を与えるのも、我々の役目なのでしょう。

2013年4月15日月曜日

シロアリについて

シロアリ対策は、大きく分けて2通りあります。

一つは、建物内部にシロアリが侵入しないように防ぐ対策で
もう一つは、建物周辺からシロアリをいなくする対策です。

どちらも様々な手法があります。

建築屋としては、まず前者の対策を充実させることを考えます。
建物内部は、薬剤の再塗布を完璧に行うことはなかなか難しいので、できる限り薬剤に頼らない手法を検討します。
その効果に大きく影響するのが、実は間取りやデザインです。
建築的なシロアリ対策の有効性を損ねるデザインもあります。
しかし、シロアリ対策を最優先にして、他のより魅力的な提案をあきらめることはナンセンスです。

そこで、シロアリ対策を建物側で徹底するのが難しい場合は、そもそもシロアリが周辺にいないように周辺土壌に対する対策を行うわけです。
シロアリの巣の本体は、女王アリのいる土の中です。無数にいるアリを全滅させるようなイメージで土壌対策を想像すると、そんな事って本当にできるのかしら?と懐疑的になってしまいますが、実際は、女王アリが住めなければシロアリ被害は起きません。(最近は外来種による例外があるので、言い切るのは問題なのですが、事例としては今のところ無視できるかなぁ、という数なので。)土壌の消毒などにより、相当に確実な対策ができます。
しかし、この対策は、定期的なメンテナンスが必要です。
いろいろな手法はありますが、種類や方法が違っても何らかの薬剤に頼ることになりますので、薬剤の効果が持続する期間ごとの再施工が必要になります。

カタログ映えのする様々なシロアリ対策を同じようにした場合でも、間取りやデザイン、周辺環境により、シロアリリスクは異なります。
「絶対」はありませんが、リスクが比較的大きい場合は、周辺土壌対策を考慮することも必要でしょう。

2013年2月6日水曜日

【小さく広く暮らす】便利=維持の手間という視点

どんな物でも、存在すれば維持に手間はかかります。
携帯電話が一台あれば充電も必要ですし、忘れないよう持ち歩くという気も使います。全く使わないでしまっていたとしても、電池漏れなどのリスクを抱えます。スマホも、タブレットも便利そうだからとどんどんGETしても、それぞれを維持するという手間は相応に増えます。そのうち便利なのか不便なのかわからなくなってきます。(^_^;)
家を構成する要素でも、全く同じ事が言えます。
トイレが二つあれば、二つ掃除が必要になります。
週に100回トイレを使うとして、1カ所なら100回。二つになれば50回ずつになるから掃除は半分ずつでいい、というわけにはいきません。使用回数は同じでも、掃除は2倍に近くなります。
くつろぎ和室が寝室を兼ねれば、掃除は一部屋ですみます。別に寝室があれば、掃除は二部屋になります。十分な収納の計画ができれば、物を取りに寝室に行く手間も省けます。寝室からくつろぎ和室にある物を取りに行きたくなる事も防げます。テレビだって、2台買うより高性能のものが1台の方が快適かもしれません。寝室が分かれていればベッドにして、布団をたたむ手間は省けます。でも、総合的に考えてみると、くつろぎ和室兼用の方が快適な人は少なくないと思います。
「便利=維持の手間」という考えは、程度の差こそあれ大抵の物に適用できます。そうなると、不要な便利は維持の手間を増やすばかりということになってしまいます。
機械や設備、空間などのハードが与えてくれる便利さよりも、「自分たち」が必要とする便利さにしっかり着目して、「自分たち」にとって不要な便利さが増えすぎないようにするという視点も大切です。
そうして維持の手間を減らして浮いた時間はどうなるかと言えば、もちろんくつろぎの余裕にもなりますし、家族の会話の時間にもなります。料理に割ける時間が増えれば高価な加工食品や合わせ調味料を使わないでもおいしい料理ができるかもしれません。大人の勉強時間にも充てられますので収入アップもめざせます。
そもそも便利すぎない大きすぎない家は、便利で大きな家に比べて家にかかる費用自体も抑えられますが、それにもまして普段の生活にも余裕が生まれます。

とはいえ、一般的に狭い家には、そんな余裕は感じにくいイメージがあります。
でも、それはちゃんと機能分離や収納の計画を考えないためで、しっかり考えられた「小さく広く暮らす」家であれば、余裕×余裕で、大きな余裕が生まれます。
そんな暮らしもいいなと思う方は、一緒に「小さく広く暮らす」家の計画を楽しみませんか。

2013年1月29日火曜日

SE構法の強さ(ちょっと専門的:塑性後の話)

SE構法の強さは、逆説的ですが壊れ方にもあります。
在来木造でも柱や壁をどんどん増やしていけば、強い建物はできます。
しかし、どんな建物でも想定される限界はあります。(柱壁ばかりでは使い勝手も良くありません。暗い狭い部屋ばかりになってしまうかもしれません。)
建物が限界を超えて壊れるときに、木造は急激に耐力がなくなります。
細い木の棒を、ポキッと折ったところを想像してください。
一般的な金物工法は、接合に金物を使ってはいても崩壊は木部で起こります。ボキッと、建物が折れてしまうわけです。
SE構法の場合、構造計算により金属部分で壊れるように計画されています。細い金属の棒を折り曲げる時を想像してください。ポキッとは折れずに、ずいぶん粘ることが想像できます。
このことは、木造で構造計算(応力計算)をしっかり行う場合でもなかなか実現できないSE構法だけの大きな特徴と言えます。
(塑性域後の構造変形を一般建築で考慮することはほとんどありません。SE構法では実験結果に伴う接合部特性として取り扱われています。)
在来木造とSE構法で同じ建物を同じ強度になるように計画した場合、限界を超えた大きな力が加わった場合、柱がポキッとなるか粘り続けるかの差があります。
想定内の地震についてがんばれる構法はたくさんありますが、想定外の地震が来た場合に命を守るという粘り強さは、SE構法の大きな特徴の一つです。

と、ここまで書いて、NCNのホームページを探したけど、記述がないねぇ。
いくら一般的ではないとはいえ、説明ページがないとは。(いや、あるかもしれませんが。見つけにくい?)
開発者の気持、広報知らずみたいな(^_^;)。

2013年1月28日月曜日

SE構法は高いといわれますがⅡ

SE構法は高いといわれますが、同じ構造強度を実現しようと思ったら多くの場合逆転します。

在来工法でもSE構法と同じ程度の強度を実現できるかもしれません。(実際には、粘り強さなどの面でどうしても及ばないところはあるのですが。)

しかし、SE構法と同じように強度計算をし、地震時に力が集中するところの補強などを行い、確実な強度を担保できる建物にしようとすると、多くの場合でSE構法より高くなります。

SE構法は、あいまいな強さの在来工法よりは高いですが、同じようにしっかり確実に卓越した強度を持つ在来工法よりは安くできます。

我々は、SE構法はお値打ちな構法だと思って推進しています。

2013年1月26日土曜日

やっぱり「一体」は好きになれない(個人的な意見です(^^;by荻野)

昨日、お客さんと話をしていて、屋根一体型の太陽光パネルの話題が出ました。

今、この瞬間だけを考えればメリットはあるんですけどね。屋根材の重複も防げるし。(実際には屋根一体型の太陽光パネルは、屋根材同等程度の防火性能を求められたりすることもありパネル自体が高価なため、価格的には巷言われるようなメリットはないのだけれど。)

しかし、やはり、「設備」に類するものを建物と一体化するのは好きになれないなぁ。

15年前のテレビが壁に埋め込まれていて容易に変えられないとしたら。15年前のエアコンが壁に埋め込まれていて容易に変えられないとしたら。15年前の給湯設備が壁に埋め込まれていて容易に変えられないとしたら。15年前の暖房器具が壁に埋め込まれていて容易に変えられないとしたら。

うちの会社の場合、200年住宅を標榜し長期優良住宅にも標準的に取り組み、水道配管のメンテナンス性(取り換えが容易な工夫も)まで気を遣う設計をしながら、一体型の設備類の採用って自己矛盾になっちゃいますしね。

太陽光パネルだって粗悪な製品では5年後程度から劣化がみられるものあったり、もちろん、そういうことのないような品質の高いものを選択するということは大切なんですが、それでも性能の低下を伴う劣化は起きます。何より、技術革新に力を入れている分野であり、今の製品が5年10年後に「超時代遅れ」の製品になっていることは想像できます。

別に太陽光パネルだけを責めるわけではないですが、よほどデザイン的なメリットがあったり、制度などの特別な事情がない限り「一体」設備は、やはり好きになれないな。と思います。

床暖房より、同じ輻射系暖房であれば床置き式の蓄熱式暖房器具のほうが好きだったりするのも、そういう所以です。
考え方ひとつなので、そのあたりのメリットデメリットを、お施主さんがご判断いただいたうえでの決定であれば何も問題はありませんし、自分の考えを押し付けるようなテーマでもないのですが。

ちなみに、一般的なビルトインコンロ(ガスもIHも)やビルトイン食洗器などは、容易に取り換えができるようになっています。